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PSMA治療は「効いているか」をもっと早く知ることができる?

9月2日
読了時間: 3分

― 血液中の「がんのDNA」に注目した新しい研究 DYNAMO Trial ―


PSMAを標的にした放射性リガンド治療では、治療前にPSMA PETを行い、がん細胞にPSMAが十分に存在するかを確認します。


では、治療を始めた後はどうでしょう。

「この治療は、本当にこの患者さんのがんに効いているのだろう?」

現在は、PSA値や画像検査などを組み合わせて治療効果を判断します。しかし、はっきりとした変化が分かるまでには、ある程度の時間がかかります。


そこで、最近注目されているのがctDNA(血中循環腫瘍DNA)です。


血液から「がんの変化」を見る


がん細胞が壊れると、そのDNAの一部が血液中に流れ出します。このDNAを調べることで、画像検査ではまだ分からないような小さな変化を、血液から捉えられる可能性があります。

つまり、PSMA PETは「治療の標的となるがんがあるか」を見る検査。

一方で、ctDNAは「治療によって、がんが実際に減っているか」を見る手がかりという考え方です。


「DYNAMO Trial」という新しい試み


この考え方をPSMA治療に取り入れようとしているのが、DYNAMO Trialです。

この研究では、転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんに、まず177Lu-PSMA-617による治療を行います。そして、治療開始後の早い段階で血液を採取し、ctDNAを調べます。

もしctDNAが大きく減っていれば、「治療が効いている可能性が高い」と考え、そのままPSMA治療を続けます。


一方、ctDNAが十分に減っていなければ、「この治療では、がんを十分に抑えられていないのでは?」と考え、PSMA治療を続ける場合と、別の治療に変更する場合を比較します。

ここがDYNAMO Trialの大きな特徴です。


単に「ctDNAが再発を予測できるか」を調べるのではなく、「ctDNAの結果を、実際の治療方針の変更に使ってよいのか?」を検証しているのです。


PSMA PETだけでは分からないこと


PSMA PETで強く集積しているからといって、必ずしもPSMA治療がよく効くとは限りません。

がんは一つの細胞の集まりではなく、さまざまな性質を持った細胞からできています。治療を続けるうちに、PSMAをあまり発現しない細胞が残ってくることもあります。


そのため将来的には、PSMA PETで「標的があるか」を確認する

PSMA治療を行う

ctDNAで「がんが減っているか」を早期に確認する

必要なら治療を変更するという、患者さんごとに治療を調整する方法が可能になるかもしれません。


「決められた回数」から「反応を見ながら治療する」へ


PSMAを標的とした放射線リガンド治療では、一定の間隔で複数回治療を行うことが一般的です。もし治療を始めて早い段階で、「この患者さんでは効果が期待しにくい」と分かれば、効果の乏しい治療を続けるのではなく、別の治療を検討できる可能性があります。


反対に、ctDNAが大きく減っていれば、画像上の変化がまだはっきりしなくても、治療が効いていることを早期に確認できるかもしれません。これはPSMA治療を、「決められた治療を行う」から、「患者さんの反応を見ながら治療を調整する」という方向へ進める可能性があります。


もちろん、DYNAMO Trialはまだ研究段階です。

「ctDNAがこの数値なら治療を変更する」という方法が、患者さんの生存期間や生活の質を本当に改善するのかは、これから検証されます。それでも、PSMA PET、PSA、SPECT/CT、そしてctDNA。


それぞれ異なる角度から「がん」を捉える検査を組み合わせることで、患者さん一人ひとりに合わせてPSMA治療を最適化する時代が少しずつ近づいているのかもしれません。

 
 
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