去勢抵抗性前立腺がんとは
 前立腺がんは、早期に適切に手術や放射線治療をすれば命にかかわることなく完治を目指すことができます。しかし、残念ながら再発しまった例や進行した例では、通常、男性ホルモンの分泌を抑えたり働きを抑制するホルモン治療を行います。ホルモン治療を行ったにもかかわらず再発してしまったものを、去勢抵抗性前立腺がんといいます。去勢抵抗性前立腺がんに対しては、近年新しい薬剤が登場して治療の選択肢が増えていますが、それらの薬剤を使用しても再発進行してしまうがんがあります。そうなると、それ以上は進行を食い止める手だけがないのが実情です。
ルテチウムPSMA標的治療(Lu-PSMA標的治療)
 ルテチウム は原子番号71の元素で元素記号は Lu、原子量は174.967の希土類元素の一つのです。177-ルテチウムはベータ線を発生する放射線元素で、半減期は6.7日です。一方、PSMAは前立腺がん細胞の表面に発現しているタンパク質で、進行がんや転移がんで特に強く出ています。ルテチウムPSMA標的治療は、このPSMAに結合する物質に177-ルテチウムを付けることで、正常臓器にはあまり影響を与えずに前立腺がんを治療することができます。
ルテチウムPSMA標的治療の実際
 ルテチウムPSMA標的治療は、PSMAを発現している前立腺がんにしか効果はありません。このことを調べるために、PSMAの発現を確認するためのPET検査を行う必要があります。オーストラリアで行っている治療では、治療の前日にPSMA PET検査を行い、翌日にルテチウムPSMA標的治療を実施します。治療は、オーストラリアのパースがシドニーの指定病院で実施します。実際には点滴室で3時間ほどの点滴を受けるだけで、治療後は宿泊のホテルにお帰り頂きます。
 具体的には、到着の翌日に指定病院でPSMA PET検査を受け、その前後にオーストラリアの治療医の診断を受けます(日本人の通訳が付きます)。PSMA PET翌日に再度指定病院に行き、そこでルテシウムPSMA標的治療(点滴3時間)を受けます。その後、約2日間ホテルに滞在し、おおよそ治療3日目に帰国になります。
アクチニウムPSMA標的治療(Ac-PSMA標的治療)
 PSMA標的治療には、ルテチウムのほかにアクチニウムを用いる方法があります。こちらの方がより強力ですが、核種が特殊なためにまだ世界でも実施できるところが限られています。
 2018年12月から、オーストラリアでもアクチニウム治療が実施できるようになりました。ルテチウムPSMA標的治療で効果が不十分な場合、アクチニウム治療の切り替えることも可能になり、治療の範囲が大変広がりました。
アクチニウムPSMA標的治療の実際
 アクチニウムは発注から入手まで1か月を要し、さらに半減期が短いために入荷後すぐに使用する必要があります。オーストラリアでは放射線物質に関する法的な規制のために月に一回しか入荷できません。そのため、実施するためには入荷に合わせた渡航の調整を行わなければなりません。オーストラリアでは、1か月以上前の段階で担当医と面談を行い、アクチニウムを用いる必要性な本人の意思確認などを行ったうえでの実施になります。
​ 渡航の日程はルテチウムと同じですが、半減期が短いために投与後24時間のホテル待機で出国が可能です。

第II相試験の結果から、Lu PSMA標的治療は高い効果と疼痛緩和効果が認められ、副作用はごくわずかだった。今後、標準治療との比較試験が待たれる。

This LuPSMA Phase II trial provides evidence of high response rates, pain reduction and low toxicity in men with mCRPC who progressed after conventional therapies. These compelling results indicate the need for randomised trials comparing LuPSMA to existing standard-of-care.

M Hofman, J Violet, S Sandhu… - Journal of Nuclear …, 2018 - Soc Nuclear Med

Lu PSMA治療は魔法の銃弾?

[177Lu]-PSMA-617 for targeted prostate cancer treatment: a magic bullet?

G Paganelli, U De Giorgi - The Lancet Oncology, 2018

PSMA PET/CT検査

PSMA PET/CT検査とは
 前立腺がん細胞に発現しているPSMAというタンパク質を特異的に調べる方法で、再発や転移を起こした前立腺がんの部位を診断することができます。その感度は、PSAが0.2 ng/ml以上であれば診断ができるといわれています。
PSMA PET/CT検査の応用
1.根治治療後の再発転移の早期部位診断
 例えば、前立腺がんに対して手術や放射線治療をしたあと、PSAが上昇した場合、骨シンチやCTで再発や転移の部位を調べます。しかし、初期の場合は再発転移の部位が小さいために、それらの検査では部位診断ができません。そのため、無為にホルモン治療を始めたり、手術部位に広く放射線を照射する治療を選択することが多いのが現状です。せっかく尿漏れや男性機能の温存をしたのに、これらの治療によって後遺症が残ることがあります。
 もし、再発転移の早期から部位診断ができれば、その部位だけに放射線治療や手術をすることで最低限の侵襲で治療をすることが可能になります。
 PSMA PET/CT検査により、早期の再発転移の部位診断をすることが期待されます。
2.進行がんに対するPSMA治療の治療前後評価
 近年その劇的な効果に注目を集めているルテチウムPSMA標的治療やアクチニウムPSMA標的治療ですが、その治療の前後にはPSMA PET/CT検査で治療の評価を行う必要があります。PSMAがの発現の有無と強さによって治療の内容の検討がなされます。
3.PSA高値で前立腺癌が疑われる方での生検前の確認
 PSAが高いにもかかわらず、前立腺生検で癌が見つからないケースがあります。このようなときは、まずPSMA PET/CT検査で癌が存在する可能性を探ることに応用できます。また、PSAを定期的に測定して上昇した時に再生検を検討しますが、PSMA PET/CT検査は、再生検が必要かどうかの判断材料を提供します。全身状態や内服薬によっては、前立腺生検が簡単に行えない場合も多々あります。PSMA PET/CT検査は、身体に及ぼす影響が軽微なため、生検前の検査としても有用です。
オーストラリアでPSMA PET/CT検査のみを受けることもできます。
PSMA PET/CTの手順
 まず、本サイトの問診欄にご記入ください。または、主治医の先生からご相談いただいても結構です。折り返しご返信させていただきます。一度、詳細をお電話等で伺い、具体的な手順をご説明いたします。
​ 検査は渡航当日でも可能です。病院には日本人通訳が待機してお手伝いいたします。検査後は画像ディスクを2枚もらえますので、帰国後1枚をセラノスティクス横浜あてにお送りください。正式な報告書とともに主治医の先生にご報告いたします。検査後は特に制限はございません。当日便で帰国も可能です。

Rising PSA post-prostatectomy. PSA 0.9 ng/mL. CT unremarkable. 68Ga-PSMA-avid right pelvic lymph node.

Diagnostics (Basel). 2018 Feb 11;8(1). Review of Gallium-68 PSMA PET/CT Imaging in the Management of Prostate Cancer.

Lenzo NP1,2, Meyrick D3, Turner JH4.

PSMA標的治療(PSMA標的内用療法)

ルテチウムPSMA標的治療についての評価

 

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