
PSMA治療が進行性前立腺がんの患者さんに非常に高い効果を示した一方、期待した効果が見られなかった患者さんがいることも事実です。現在、どのような条件の患者さんに最も効果が期待できるか、ほかの治療との兼ね合いでどのタイミングで実施するのが適しているのか、などの研究が進んでいます。まだはっきりした基準は示されていませんが、ホルモン治療後の再発でPSA 100 ng/ml以下で貧血がなく、転移はリンパ節転移と骨転移に限られている患者さんに最も効果が期待できるのではないかといわれています。
ルテチウムというアイソトープ(放射性同位元素)はβ線という短い波長の放射線です。 これがPSMA抗体を見つけてそのレセプターに結合し、β線でがん細胞を攻撃するのでミクロの近距離戦です。またPSMA抗体を持たない普通の細胞には何もしませんから、外部照射のような被曝の影響を心配することはありません。
PSMA治療の24-48時間で体内にある放射線の大部分は尿中に排泄されますが、少量の放射線が最長1ヶ月間体内に残ることがあります。この放射線は危険な量ではなく、ご自身へのリスクはほぼありませんが、この期間は周囲の人々へ配慮し放射線被ばくを最小限に抑えることが大切です。周囲の人との接触、旅行や移動、ご自身のケア、仕事への復帰時期など、詳しい放射線安全ガイドラインを治療の前にお渡しします。
2024年6月更新
残念ながらPSMA治療が期待したほどの効果を表さない患者さんはいらっしゃいます。PSMA治療は世界でも超最先端治療ですので、どのような病状の方が治療に適しているかは未だ試行錯誤しているのが現状ですが、一般に、PSAが0.3ng/ml以下または500 ng/ml以上、内臓に転移がある、強い骨髄抑制がある、などの患者さんは効果が出にくいとされています。
ガリウム、またはフッ素の入った注射をしたのちに通常のCTスキャンと同様の装置で全身を撮影します。注射した物質は速やかに排出されますので、検査後は特に生活上の制限はありません。
ごく稀に前立腺がんの細胞にPSMAがないことがあります。 その場合は、PSMAを見つけることができないのでルテチウムが働くことができません。この場合にはPSMA治療はできません。
海外で抗がん剤と比較した試験でPSMA治療の有用性と安全性が証明されていることから、患者さんが希望されれば抗がん剤より先にPSMA治療を受けることは問題ありません。PSMA治療がのちの抗がん剤治療の妨げになることはありません。渡航まで時間がある場合には、先に抗がん剤治療を始めて、渡航の準備が整い次第抗がん剤治療を中断してPSMA治療を受ける患者さんもいらっしゃいます。
原則として治療はルテチウムで行われます。アクチニウム治療は極めて特殊な症例に限られているので、患者さんが希望することはできません。アクチニウムはルテチウムに比較して世界的に入手しにくい治療薬であり、オーストラリアでも入荷が不安定なので渡航日程との調整も困難です。
アクチニウムのα線は極めて近距離で強いエネルギーの放射線を、ルテチウムのβ線はα線よりは長い距離ですがこちらも近距離で、比較的マイルドなエネルギーの放射線を照射してがん細胞のDNAに損傷を与えます。治療方法はどちらも外来で静脈注射です。 ただし、アクチニウムは極めて規制の厳しい放射線同位元素で世界でも医療材料として使用できる国が限られています。使用する患者さんにも細かな条件が課せられており、オーストラリアの医師による承認が必要です。また、入荷が不安定なため承認後にもルテチウムに変更されることがあります。
PSMAは主に前立腺がんの細胞に発現しているタンパク質ですので、今のところPSMA治療は前立腺がんの治療に限られています。ただ、今後研究が進めばほかの癌の治療にも応用範囲が広がるかもしれません。
理論的にはPSMA-PET/CTスキャンで陽性であれば、PSMA治療は受けることができます。また、PSMA治療とは異なりますが、同じような方法でDOTATATE(ドータテートと読みます)とよばれる薬にルテチウムを結合し、治療することは可能です。幸いなことに、神経内分泌がんは2021年8月より日本における保険診療での内用療法(ルテチウムDOTATATE)が、限られた医療施設において開始されました。適応条件がありますので、主治医と相談してみてください。
DOTATATEとは主に神経内分泌がんの診断と内用療法に用いるタンパク分子の名称で、オキソドトレオチドともいわれます。DOTATATEというタンパク分子に、放射性同位元素のルテチウムを結合させて静脈内に注射します。神経内分泌がんの多くは、細胞の表面にソマトスタチン受容体を持っています。ソマトスタチンと同じ物質と認識されるDOTATATEが、がん細胞のソマトスタチン受容体に結合すると、ルテチウムからβ線が放出され、がんに直接照射します。メカニズムはPSMA治療と同じです。
副作用が強く出ない限り治療回数には上限はありません。
それぞれの患者さんの治療前のがんの状態(スタートライン)により、効果には個人差があります。そのような中で3-4回の治療を標準的なスケジュールとしてお勧めしています。ただし、1-2回の治療でも効果がないともいえません。治療回数については柔軟に対応いたします。
PSMA治療を受けるタイミングについては、病気の状態がPSMA治療に適しているかが判断の基準になります。PSMA治療の適応は次のようにお考えください。 ホルモン抵抗性前立腺がんであること PSAが0.4以上で現在の治療でも上昇傾向にあること 海外渡航に耐えられること そして、この治療は根治を目指す治療ではないことをご理解ください。
セラノスティクス横浜の医師が実際に患者さんと面談したうえで、判断させていただいております。 年齢よりも現在の体調や病状が渡航治療に適しているかどうかが大切になってまいります。 オーストラリアでは90歳の方も治療を受けていらっしゃいますし、私どもがサポートした方の中には88歳の方もいらっしゃいます。 2022年1月更新
様々な条件と状況に左右されますので、一概には申し上げられません。 2022年1月更新
PSMA治療は完治を目指す治療ではないので、日本人の患者さんでこれまでに完治した方はいらっしゃいません。ただ症状が軽くなったり消えたりした状態=寛解状態が年単位で続いている方はいらっしゃいます。
2024年6月更新
PSMA治療後すぐに放射線外照射治療を始めることは可能ですが、放射線外照射治療後は最低4週間以上あけてから次のPSMA治療を計画します。これは骨髄への影響を確認するためです。
2024年6月更新
2024年1月から、大阪のMIクリニックで、日本で初めてPSMAペット検査が受けられるようになりました。(治験を除いて日本初。検査費用は自費)ご希望の方は、主治医の先生に相談するか、セラノスティクス横浜までお問い合わせください。(お問い合わせはホームページのお問い合わせフォームからお願いいたします)
2024年6月更新
遠方からのお申し込みの場合、横浜へおいでになるのは大変かと思います。その場合は無料アプリのZoomを使ってビデオ面談もできます。まずはホームページの問診票に記入してお送りください。折り返しコーディネーターからご連絡いたします。
日本での初回面談、紹介状作成、オーストラリアの医師とのビデオ面談などがありますが、順調に行けば2-3週間で治療日程の提案があります。治療ビザなどの申請をして、渡航後は7日間の待機期間があります。その後、検査と治療で1週間くらいかかりますので、申し込みから1か月半~2か月くらいで治療になる目安です。
いいえ、ビデオ面談は難しくありません。パソコンまたはスマホでもできます。ZoomまたはTEAMSという無料アプリを使って行います。面談には日本語通訳が同席するので、会話はすべて日本語で出来ますのでご安心ください。
2024年6月更新
抗がん剤の途中でもPSMA治療を受けることができます。ただし、骨髄抑制の副作用を避けるために、最終の抗がん剤治療から4週間以上の間隔をあけてからPSMA治療をすることをおすすめしています。
はい、是非、お話してください。 理由は以下の2点です。 1 われわれは海外での治療をサポートしますので、これまでの治療経過を主治医から紹介状という形でいただき、英文の紹介状に書き換え、オーストラリアの医師に送ります。また紹介した結果は主治医に報告書として連絡を差し上げます。医学的な情報の交換は継続しますので、主治医の理解は必要です。 2 PSMA治療は完治を目指すものではなく長い前立腺がんの治療経過のなかで効果的にがんの進行を抑え込むことを目的としています。主治医に相談なくオーストラリアでPSMA治療をしたものの状況が悪化してしまい、その後に困ってから主治医に相談することになるとこれまでの信頼関係もおかしくなってしまいます。患者さんの立場から新しい治療法について率直に相談することは難しいと思われるかもしれませんが、PSMA治療後にも定期的な経過観察は必要です。主治医の理解はとても重要です。
はい、セカンドオピニオンとして面談の申し込みは可能です。セラノスティクス横浜の医師が、PSMA治療について、患者さんの疑問や質問に丁寧にお答えします。渡航についても、セラノスティクス横浜のコーディネーターが詳しくご説明します。
はい、セカンドオピニオンでも主治医の紹介状や画像データが必要です。正確な情報に基づいた適切な判断のために、是非ご用意ください。
Zoomはお使いになるパソコンやスマートフォンに専用ソフトをダウンロードすれば、どなたでも簡単にご利用いただけます。 ダウンロードは下記のサイトにアクセスしてください。
https://zoom.us/jp-jp/meetings.html
事前に接続テストをご希望の場合はセラノスティクス横浜のコーディネーターが対応いたします。
TEAMSの場合はメールで送られてくる招待で、[ 今すぐ会議に参加する] を選択します。
名前を入力して、オーディオとビデオ設定をします。そして今すぐ参加を選択するだけです。
TEAMSはアプリをダウンロードしなくても参加できます。詳しくは下記のサイトをご参照ください。 https://support.microsoft.com/ja-jp/office/teams-%E3%81%A7%E3%81%AE%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%AB%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%81%99%E3%82%8B-078e9868-f1aa-4414-8bb9-ee88e9236ee4
2024年6月更新
患者さんがPSMA治療に適しているのかどうか、PSMA治療を受けられるのかどうか、セラノスティクス横浜の医師が判断します。そのためには、これまでの治療や現在の状況、患者さんのご希望など、いろいろお話を伺う必要があります。患者さんのお顔を見ながらお話させていただきたいので、横浜へおいでいただくか、またはZoomを使ったオンラインでの面談をお申込みください。
PSMA治療の適応を判断するために、主治医からの紹介状と画像データが必要です。 また、面談料として33000円のお振込をお願いします。
はい、家族同伴でも大丈夫です。オーストラリアでは外来でPSMA治療が受けられるので、治療後はご家族と一緒にホテルに宿泊できます。
2024年6月更新
通訳は治療施設の玄関でお待ちしています。治療中は通訳がずっと同行するのでご安心下さい。
2024年6月更新
PSMA治療にご家族が同行される場合、同室に宿泊することは問題ありませんが、治療後48時間は同じベッドで寝ない、15分以上1メートル以内で過ごさないなどの安全ガイドラインがあります。宿泊はホテルでもコンドミニアムでもOKですが、コンドミニアムタイプのほうがリビングスペースがあるので、同行者がある場合は過ごしやすいかと思います。
2024年6月更新
コロナに関する規制が緩和されてきたことを受けて、オーストラリアへの渡航治療に際して治療ビザの取得が必要なくなりました。患者さんご本人も同行の方も、観光ビザ(ETA)で渡航可能です。ETAの取得にはスマホのアプリが便利です。AustralianETA 4+
Apply for an Australian ETA Department of Home Affairs (iPhone)または AustralianETA Department of Home Affairs(Google)をダウンロードして申請してください。無料で取得できます。取得した観光ビザはパスポート番号に紐づけされます。ETAの申請を代行する業者がありますが、中には有料でなおかつ時間のかかる業者もあるようです。ご自身での申請が不安な場合には、JTBなど大手旅行会社に相談することをお勧めします。
2024年6月更新
治療を終えて帰国した後も、定期的な採血による経過観察の必要があります。検査結果をオーストラリアの医師と共有できるように、帰国後も主治医の先生のもとで血液検査を受け、結果をセラノスティクス横浜に送ってください。
1日目 現地到着
2日目 PSMA治療
4-5日目 現地出発
治療の4週間後に血液検査
治療の5週間後にオーストラリアの医師とビデオ面談
2024年6月更新
ジェネシスケアはオーストラリア、アメリカなどを中心に、世界でも最先端のがん治療を提供しているメディカルサポート会社です。セラノスティクス横浜は、オーストラリアのジェネシスケアと協力して、日本では受けることのできないPSMA PET/CTスキャンとPSMA治療、DOTATATE治療を皆さまにご提供するサポートをしております。
2024年6月更新
アイコンは医師主導型のオーストラリア最大のがん治療専門プロバイダーであり、シンガポール、中国本土、香港、ニュージーランドにそのサービスを拡大しています。セラノスティクス横浜は2024年5月よりオーストラリアのアイコンと協力して、日本では受けることが難しいPSMA治療やDOATATATE治療を日本の患者さまが受けるためのサポートをしています。
2024年6月更新
(1)日本人ドライバーによる送迎サービス
(2)ウーバータクシー
(3)公共交通機関
詳しくはお申し込みの際にご説明いたします。
2024年6月更新
オーストラリアでは、血液検査を受ける施設が日本とだいぶ違います。日本では血液検査は病院やクリニックで受けますが、オーストラリアでは検査専門施設へ行って受けます。現地で血液検査が必要なことな滅多にありませんが、必要な場合は詳しくご説明します。
2024年6月更新
治療期間中は決められた時期に血液検査を受けて、その結果をセラノスティクス横浜へ送ってください。セラノスティクス横浜の医師とオーストラリアの医師とで結果を共有し、治療後の経過を評価しながら観察を続けます。
治療日には施設の玄関で通訳と待ち合わせます。治療中もずっと同行しますのでご安心ください。
2024年6月更新
現金を使うことはまずないので、現金はなくても大丈夫です。1ドルでもクレジットカードで払えます。オーストラリアではチップの習慣もありません。
2024年6月更新
PSMA治療効果の判定に一番有用と考えられるのはPSMAペット検査です。ただ治療後しばらくの間はフレアの影響でPSMAペット検査をしても正確な画像情報が得られないことがあります。現段階では、2回目の治療の約6週間後にPSMA検査をすることが治療効果の判定に一番よい方法だと言われています。そのほかにPSAの数値、体調の変化なども重要な判断材料となります。これらを総合して、オーストラリアの専門医が治療効果を判断してゆきます。
2024年6月更新
治療費用の支払い方法は、治療を受ける施設によって異なります。ジェネシスケアの場合にはセラノスティクス横浜の銀行口座へ日本円で振り込みをお願いします。 アイコンの場合にはクレジットカードで直接アイコンへ支払いが可能です。
海外の医療費は日本の国民健康保険への請求はできません。ただ、患者さんが任意で加入されている民間の医療保険、がん保険、あるいは生命保険の契約内容によっては請求可能な場合があるかもしれませんので、契約のある保険会社に問い合わせてみてください。
PSMA治療でめまいが起こるというのは聞いたことがありません。 めまいの原因となる、内耳や小脳・脳組織にはPSMAの顕著な発現が見られないので、治療との関連は考えにくいです。 めまいは非常に一般的な問題で、さまざまな原因がありますが、通常は内耳に関連しています。 2022年1月更新
手のしびれはPSMA治療と関連する症状ではありません。 化学療法(ドセタキセル)、手根管症候群、首や腕の神経圧迫、高血糖、まれにカルシウムなどの代謝異常が主な原因として挙げられます。 骨の炎症が神経を刺激したり、前立腺がんが神経組織に侵入したりすると、PSMA治療の後、1~2 週間炎症を起こすことがありますが、これはまれなケースです。 2022年1月更新
口腔乾燥はPSMA治療の副作用としてよく知られていますが、これは通常数週間で改善されます。
病気が進むにしたがって食事がとりにくくなることで口の渇きの症状が強くなることがあります。これは本来口を動かすことで分泌される唾液が、お食事があまり取れないことで分泌されないために起こります。 2024年6月更新
肩の痛みは、前立腺癌の影響で肩に骨の病気がある場合、その炎症に関連している可能性があります。 また、PSMA治療で関節炎の再燃が見られることがありますが、これは通常ステロイド剤を服用することで落ち着きます。 2022年1月更新