PSMA治療は「効いているか」をもっと早く知ることができる?
- 5 日前
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― 血液中の「がんのDNA」に注目した新しい研究 DYNAMO Trial ―
PSMAを標的にした放射性リガンド治療では、治療前にPSMA PETを行い、がん細胞にPSMAが十分に存在するかを確認します。
では、治療を始めた後はどうでしょう。
「この治療は、本当にこの患者さんのがんに効いているのだろう?」
現在は、PSA値や画像検査などを組み合わせて治療効果を判断します。しかし、はっきりとした変化が分かるまでには、ある程度の時間がかかります。
そこで、最近注目されているのがctDNA(血中循環腫瘍DNA)です。
血液から「がんの変化」を見る
がん細胞が壊れると、そのDNAの一部が血液中に流れ出します。このDNAを調べることで、画像検査ではまだ分からないような小さな変化を、血液から捉えられる可能性があります。
つまり、PSMA PETは「治療の標的となるがんがあるか」を見る検査。
一方で、ctDNAは「治療によって、がんが実際に減っているか」を見る手がかりという考え方です。
「DYNAMO Trial」という新しい試み
この考え方をPSMA治療に取り入れようとしているのが、DYNAMO Trialです。
この研究では、転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者さんに、まず177Lu-PSMA-617による治療を行います。そして、治療開始後の早い段階で血液を採取し、ctDNAを調べます。
もしctDNAが大きく減っていれば、「治療が効いている可能性が高い」と考え、そのままPSMA治療を続けます。
一方、ctDNAが十分に減っていなければ、「この治療では、がんを十分に抑えられていないのでは?」と考え、PSMA治療を続ける場合と、別の治療に変更する場合を比較します。
ここがDYNAMO Trialの大きな特徴です。
単に「ctDNAが再発を予測できるか」を調べるのではなく、「ctDNAの結果を、実際の治療方針の変更に使ってよいのか?」を検証しているのです。
PSMA PETだけでは分からないこと
PSMA PETで強く集積しているからといって、必ずしもPSMA治療がよく効くとは限りません。
がんは一つの細胞の集まりではなく、さまざまな性質を持った細胞からできています。治療を続けるうちに、PSMAをあまり発現しない細胞が残ってくることもあります。
そのため将来的には、PSMA PETで「標的があるか」を確認する
↓
PSMA治療を行う
↓
ctDNAで「がんが減っているか」を早期に確認する
↓
必要なら治療を変更するという、患者さんごとに治療を調整する方法が可能になるかもしれません。
「決められた回数」から「反応を見ながら治療する」へ
PSMAを標的とした放射線リガンド治療では、一定の間隔で複数回治療を行うことが一般的です。もし治療を始めて早い段階で、「この患者さんでは効果が期待しにくい」と分かれば、効果の乏しい治療を続けるのではなく、別の治療を検討できる可能性があります。
反対に、ctDNAが大きく減っていれば、画像上の変化がまだはっきりしなくても、治療が効いていることを早期に確認できるかもしれません。これはPSMA治療を、「決められた治療を行う」から、「患者さんの反応を見ながら治療を調整する」という方向へ進める可能性があります。
もちろん、DYNAMO Trialはまだ研究段階です。
「ctDNAがこの数値なら治療を変更する」という方法が、患者さんの生存期間や生活の質を本当に改善するのかは、これから検証されます。それでも、PSMA PET、PSA、SPECT/CT、そしてctDNA。
それぞれ異なる角度から「がん」を捉える検査を組み合わせることで、患者さん一人ひとりに合わせてPSMA治療を最適化する時代が少しずつ近づいているのかもしれません。


